航空機の機体洗浄作業はハイテク作業?1日に洗える作業も効率的?
飛行機を洗う、と聞くとハイテクな機器で機体全て丸洗いしている?そんなイメージありませんか?
でも実際は違うんです。
想像しているのとだいぶかけ離れた作業に驚くかもしれませんが、熟練の手作業によるもの。
飛行機の機体洗浄は手洗い
車と違い、大きさも巨大な飛行機を洗浄というと自動で洗う洗浄機のイメージかもしれません。
ですが、実際は人間による手洗いで完結しているんですが、驚きですね。
- 洗剤
- モップ
(機体横を洗う柄の長いもの・胴体下を洗う柄の短いもの)
↑↑↑これが実際に飛行機を手洗いする時に使う道具ですが、目新しいものはないんです。
普段目にする物ばかりで手洗いをするのはいささか驚きでもありますね。
手洗いする理由
日本の技術力であれば、飛行機の自動洗浄機の開発もできますが、あえて手作業にしている理由がちゃんとあるんです。
理由はいくつかあるのですが、、、
- 手洗いをすることで、人間の五感による小さな異常を見逃さないため
- 機種毎に機器の搭載位置が異なるため、設定作業に手間がかかる
こんな理由が存在したんです。
五感で異常を発見しやすくするため
幾らAIが発達したとはいえ、人間の五感や熟練の技術者の匠の技と比べるのはナンセンス。
経験や手触りなどで、飛行機に生じたさまざまな異常を機体清掃の段階で発見しやすくするというメリットがあるんです。
これは自動化だと見落としてしまうであろうことも、人間のチーム作業であれば飛行機の損傷などを早い段階で発見しやすくするためでもあります。
- 整備作業の一環
- 汚れを取り除くことで空気抵抗が減り、燃費の向上につながる
整備作業は上記の通り、五感による異常の早期発見という意味合いです。
そして、汚れも積もり積もればそれが余計な空気抵抗を生み、上空で予想外に燃費を消費します。
普段から機体を綺麗に洗浄しておくことで、燃費の向上に繋がるということです。
自動洗浄しなくなった理由
以前は成田空港にB747(通称:ジャンボ機)専用の自動洗浄機がありましたが、今は稼働してません。
というのも、飛行機には様々な電子機器が搭載されており、その電子機器の設置場所は機体ごとに微妙に位置が異なるんです。
となると、機体を洗う度に都度設定を変更する手間があることと、人間の手作業による異常の発見に重点を置いてという意味合いで今では自動洗浄機は稼働してません。
作業内容は?
1機洗うのに大体13~14人が1チームで洗浄します。
機体を洗う際には汚れが残らないように
- 機体上部から下部へ
- 機体前方から後方へ
というように連携して作業を行っていき、1機洗い上げるのに1時間30分から大型機ともなると3時間程度にまで作業時間が及びます。
幾ら人間が連携作業で洗浄するとはいえ、あれだけの大きさの洗う訳ですから時間はかかりますよね。
作業で注意すること
航空機は精密機材の塊ですし、どの機器も重要な役割を果たします。
特に静電気を逃すセンサーやピトー管などの機器を損傷させないようにすることの他、水が入らないように事前に塞ぐ(マスキング)など、機体の損傷には注意を払って準備を行います。
作業を重点的に行うところ
飛行機が飛ぶとなると、エンジンから噴き出すガソリンは後方へと流れていきますので、エンジン吹き出し口や後方、また着陸した際にボーディングブリッジを接続させるドア周りも汚れが付着しやすい所。
そのような汚れが特に付着しやすい所は重点的に作業を行います。
季節による汚れの違い
航空機のフライトは、エンジンからのススの他にも、春先には黄砂の影響もありますし、夏は虫が機体に衝突するなど汚れの原因も様々。
車ですら夏場は虫の死骸が付着して相当汚れるのですから、飛行機ともなると曲線も多いですし、機体の洗浄作業はまさに巧の技の部分も大きい作業といえますね。
作業時間は?
作業時間 | 23時~6時 |
1機の洗浄時間 | 1時間30分~3時間(機種により変わる) |
1日に洗える機体の数 | 2機~3機ほど |
但し、整備作業が優先となる |
航空会社のどこの部署が機体を洗う
一概に言えませんが、航空機の地上支援を主として行ってる会社が作業をすることが多いです。
- ANAエアポートサービス
- 大洋メンテナンス
- JALグランドサービス
これらの地上支援業務を行う会社が機体洗浄作業を、普段目にすることのない場所で行ってます。
このような地道な積み重ねで空の安全が守られてることに感謝しかありません。