ランプコントローラーとはどんな仕事をしている?航空管制官との違いは?
空の安全を支える仕事の一つとして「ランプコントローラー」という仕事があります。
ただ、ランプコントローラーと聞いても何をコントロールするのか?ピンと来ないかもしれません。
以上がランプコントローラーの業務になる訳なのですが、これ実は成田空港だけに限ったことなんです。
何故そうなったのか?詳しく本文で解説します。
ランプコントローラーの仕事とは?
ランプコントローラーの仕事と聞いてもなかなかピンとこないかもしれませんが、 ランプコントローラーの業務内容としては、無線を使用して空港内の航空機の誘導がメインの仕事 ということ。
ランプコントロール業務 | 無線の指示で航空機を動かす |
スポットコントロール業務 | 空港内にある駐機場に航空機を割り振る |
飛行機の空港での運航を、安全にそしてスムーズに捌くのがランプコントローラーの業務ということになります。
とはいえ、航空機に無線で指示をする業務というと、航空管制官と何が違うの?というと受け持つエリアが違うということ。
管制官とランプコントローラーの受け持つ範囲の違い
受け持つ範囲 | |
航空管制官 | 滑走路と誘導路 |
ランプコントローラー | 駐機場付近のエリア(ランプエリア) |
航空機に指示を出す、と一言でいっても航空管制官とランプコントローラーでは受け持つ範囲が異なるんです。
ただ、これは成田空港に限った話であって、成田以外の空港であれば滑走路・誘導路・ランプエリアの指示を全て航空管制官が担ってるということ。
誘導路:滑走路⇔駐機場へ移動するために使用
ランプエリア:駐機場⇔誘導路を含む場所がランプエリア
以上のように、ランプコントローラーのお仕事というのは成田空港に限った話になり、成田以外の空港ではランプコントローラーの業務内容も航空管制官が一手に担ってます。
ではなぜ成田空港だけが、ランプコントローラー業務があるのか?というと、
- 多くの駐機場があること
- 航空機の走行路が複雑であること
- 空港の規模に対して滑走路が2本で混雑時は航空機の離発着が集中する
以上の理由から、成田空港では複雑な走行路や駐機場エリアはランプコントローラーが業務を担って、 航空管制官とランプコントローラーで受け持つエリアを分けることで、業務の効率化を図っている ということです。
成田ならではの事情でランプコントローラーが業務を担う
成田空港規模の空港であれば、通常は滑走路の数も4本以上設置し、航空機の運航がスムーズにいくように作られてます。
成田空港の場合は、まず便数が多い(1日600便前後)という事情の他に、滑走路が2本と少ないために航空機の混雑が発生すること、空港の作りが複雑(※複雑になった経緯は今回は触れません)であり、道を迷うと行き止まりになる構造な空港なんです。
航空管制官は、地上の航空機のみならず上空の航空機へも指示をしますが、ココに更に成田ならではの複雑な空港の構造+航空機の混雑が重なると航空管制官への負担が大きくなります。
となれば、業務エリアを分ければ負担も軽くなりますし、それぞれの業務に集中できるので効率的な運用が可能になるという理由で成田空港ではランプコントローラーの仕事があるということです。
ランプコントローラーの具体的業務
通常、他の空港で航空管制官が担ってる範囲の一部をランプコントローラーが担ってます。
ランプコントロール
航空機は定刻になったら勝手に出発することはできません。必ず航空管制官に出発の許可を取ってから動き始めます。
航空機は自機では後ろに下がれません。これを可能にするのが、航空機前方に横付けした車(トーイングカー)を使って航空機を押す(プッシュバック)ことで誘導路へと出られます。
このプッシュバックも、事前に航空管制官の許可があって初めてプッシュバック作業をすることができます。
通常、航空管制官がパイロットに対してプッシュバックの許可を出す業務をランプコントローラーが担ってるということ。
特に航空機の出発が重なる時間帯ですと、1人で一度に10機ほどを担当するほど多忙な状況もありますし、天候の変化により使用する滑走路の使う方向が変わるときは、航空管制官と密に連絡を取り合い業務を進めていきます。
そして、定刻になったらランプコントローラーがパイロットに英語で指示を出します。
パイロットと管制官が英語で会話するワケ
航空機への指示も会話は全て「英語」これは成田空港で国際線が運航してるから、という訳ではなく、航空機のパイロットと航空管制官(ランプコントローラー)との会話は全て英語で行われます。
仮に特定の言語で管制官とパイロットが会話をしていたとした場合、時に運航の状況が危険な時もあるかもしれません。
そのような時に ローカル言語で会話をしていたら、他のパイロットが内容が分からずに危険をスグに察知できません。
なので多機の状況をいち早く知るという意味合いでも、国内線のフライトであっても、国際線のフライトであっても「航空管制官とパイロットの会話は全て英語」ということなんです。
スポットコントロール
航空機をどの駐機場に入れるか?は事前にスケジュールが組まれてますが、航空機は自然の影響であったり、出発地の遅延で本来は入る予定の航空機が遅れて、別の航空機は風向きの影響で早く到着した、なんてことはあります。
そうなると使用予定のスポットに航空機が来ず、状況に応じてスポット変更を迫られます。
スポット=駐機場のこと
このスポット変更もランプコントローラーの業務内容の一つでもあります。
スポットの運用管理と一言でいっても、実際はそれぞれの駐機場に止められる飛行機の機種が決まってるケースもあります。
そのような限られた条件下で、どの航空機をどこの駐機場に入れるか?を効率的に捌く重要な役割を担ってます。
成田空港のランプコントロールは誰が行う?
NAA(成田国際空港株式会社)という民間の会社の、 運用管理部に所属する社員がランプコントロール業務を担ってます。
航空管制官は国家公務員ですが、成田空港のランプコントローラーはNAA(成田国際空港株式会社)の民間会社に所属することになります。
ランプコントローラーになるには?
ランプコントローラーも航空管制官も同じくパイロットと英語で会話するために英会話の力は必須。また航空無線通信士という資格も必要になります。
管制官と同じくランプコントローラーも空という3次元空間で物事を処理するため、空間把握能力が高い方が良いです。
また、ランプコントローラーがパイロットと共通する事柄として1点集中型ではなく、複数の事柄に注意を向けられる力がある方が業務がスムーズにいくでしょう。